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僕の大型鰐

第5章 緋色という人物


「ミス・オールサンデー」
「なんでしょうか、サー」
カジノ、レインベースの一室。不機嫌だと言わんばかりの雰囲気を醸し出すクロコダイルの声をものともせず、ロビンはにこやかに返事をする。クロコダイルは小さく舌打ちをして、葉巻を咥えた。
「緋色とはどういう関係だ?」

クロコダイルは、シャルラについてできる限りの情報を集めようと思っている。シャルラとロビンが談笑する様子を途中から見ていたので、ロビンからも何か聞けるだろうと踏んでの質問だった。
「あら、嫉妬?」
ロビンの軽口で、クロコダイルの額にビキッと青筋が走った。
「ごめんなさい、冗談よ。…彼には幼い頃に命を救ってもらった事があるの。会ったのはそれきりだし、彼についてはほとんど何も知らないわ」
さして悪びれもせずロビンは言った。
「………その時の緋色の外見はどうだった?」
「今と変わっていなかったわね。……彼は不思議な人よ、本当に。彼、海王類と意思の疎通までできるらしいもの」
「海王類だァ!?」
「?…ええ」
クロコダイルは驚愕した。
「海王類との意思疎通なんざ、魚人島…リュウグウ王国の国王すらできねェと聞いた…。人魚でもねェあいつができるとは思えねェ」
「ですが、サー。私は彼が海王類に話しかけ、海王類が彼の言葉に従う一部始終をこの目で見ました。
  彼はそういう不思議な人物なのだと、割り切ってしまった方が気は楽よ」
ロビンは苦笑する。それは諦観と自嘲と揶揄のこもった、不思議な表情だった。
クロコダイルは苦い顔をした。"割り切る"というのは、博識で聡明なロビンでさえシャルラの正体を探るのを諦めたということになるからだ。

得体のしれない者…。

クロコダイルは本日何度目かの舌打ちをした。
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