第1章 もう、先生じゃないから
リリアはいつまでも昔の先生が忘れられない。
幼き日に、勉強を教えてくれた、あの、
レオンハルト先生を。
[side リリア]
私はまた来てしまった!!
ここを卒業してから2年ちょっと、
今、二十歳の私はあることが理由で
FSR(フリースタディルーム、いわゆる塾)にいる。
「皆さん元気ですかー??」
私は、そう言う。
まぁ、いつも通りだけど。
「リリアちゃん、また来たのね」
唯一の女教師のジェニーは呆れてる。
…私はあんたに会いに来たわけじゃないの。
本当は。
「先生~❤」
黒髪黒眼、長身!
私の大好きな、レオンハルト先生。
「勉強教えてくださーいよー、先生」
いつもいつも、このために来るのよ☆
でも、先生は
『・・・』
無視。先生は最近、冷たい。
何でこんなに冷たいの?!
昔は笑顔だったのに…
思い出したように、私の耳元で囁く。
『ひとつ言わせてもらうが、俺は、
もう、先生じゃないから』
心にこの言葉は深く突き刺さる。
先生に私の愛なんか、届くわけなかったんだ。
「勉強くらい、教えてくれたっていいじゃん!」
私は精一杯叫んだ。
くるっとターンして、家に帰ることにした。