第10章 安心の味
「ごめん、呼び出して」
「別にいいよ。
そんなこと気にしなくて」
潤くんらしくもない。
「ん、これ呑んでいいよ」
「ありがと」
申し訳なさそうな顔をして冷えたビールを出してくれる。
自分の分のビールを机の上に置き、潤くんはソファーに腰を下ろした。
俺は床に座る派だからいつも通り床に座ろうとすると…。
「こっち」
潤くんに腰を引かれ、潤くんの隣に座ることになった。
心なしか腰に回された手が震えている。
今日はスキンシップ激しいよな。
「大丈夫?今日は酷い方?」
大丈夫だよ、という思いも込めて潤くんの肩を抱きながら尋ねる。
「そこまでじゃない、でも…」
そこで言葉を詰まらせた。