第10章 安心の味
「うん、分かった。
すぐ行くよ」
テレビを消し、戸締まりをして潤くんの家に向かう。
幸い俺の家から潤くん家まではそう遠くない。
タクシーであっという間に着くことが出来た。
料金を払ってタクシーを降りるとインターホンを押す。
「和!」
間髪入れずにドアが開いた。
「まさかとは思うけど、ずっと玄関で待ってたの?」
いくら走ったとしても速過ぎる。
「おう」
「あ、やっぱりか」
ニカッと無邪気に笑われても曖昧な表情しか出来ない。
「とりあえず中入ってよ」
「あ、うん」
中へ入れて貰うと帰って来たばかりなのか、荷物が部屋の隅に置かれていた。
潤くんらしく整頓されて。