第4章 少女の過去
「………お前は、、、人を殺したのか」
顔は下に下げたまま、キドがうっすらとしたか細い声で問いかけてきた。
「うん、そうだよ、ごめんね、目の前に人殺しが居て」
「………………何故、殺したのか聞いていいか?」
「聞いたところでなんになるの?私が人を殺したことは変わらないよ?聞いて貴女はどうするの?あぁそうですかって言って私を許すの?殺すの?
だいたい聞かなくったって、私は関係無い貴女達は殺すつもりも無いし、お礼はきちんと置いて、今日中に出ていくつもりだよ。
一日限りで関係が終わる人の私情を知ったって、明日には忘れる様な事でしょう?」
「明日には、忘れる様なうすっぺらい内容なのか?お前が人を殺す理由は。
お前が人を殺す理由は人を殺すことで得る感情が欲しいだけなのか?
お前が人を殺すのは、人を殺してみたいだけだからか?
お前が人を殺すのは、、、突発的にそいつを人を殺したくなるだけなのか?それだけの事なんだよな?明日には忘れる様な理由ってのは」
キドが話している間、だんだんと私の機嫌が悪くなっていくのが手に取る様にわかる。
イライラしてきてキドが言い終わる頃には目の前にある机に拳を力の限り叩きつけていた。
ダンッという短く激しい音が部屋を包んで、その音が小さく反響する。普段気にならない事なのに、それだけの事で不快感が増していく。
私が次第に下を向いてキド達が見えない間、キドは顔を上げてしっかりと此方を見ていた様で顔を上げてキドを睨み付ければキドと目が合う。
キドは驚く事も、怯む事もしなかった。
「んな訳………ないでしょう!?私さっき言ったよね!?関係無い貴女達は殺さないって!
つまり私は無差別に人を殺してる訳じゃないの!!!!
人を殺したときに得る感情!?そんなの苛立ちしか無いわよ!殺したことも無いくせして、何?
自分わかってますよ的な事がしたいの?それなら私じゃない人とやってくれない?正直私そういうの大嫌いなの。
だいたいね、突発的に殺したくなるんだったらあんたの首、もうとんでるから!!」
息継ぎもせずツラツラと言葉を並べて呼吸が荒くなる。その事にも苛々して、徐々に眉間に皺がよっていく。
キドはそれでも動じなかった。ピタリとも動かず、立ち上がった私をジッと見ている。それが更に苛立ちを産んでいった。