第2章 戦
早く、早く!
助けを呼ばねば!
その一心で、審神者は必死に走る。
ギィシャアアアアアアア!!
「!?」
甲高い声と共に審神者の前に現れたのは大太刀を構えた敵。
「な、んで!?まだいたの!?」
まるでスローモーションの様に太刀が迫ってくる。
「っ!!」
ぎゅっと目を閉じる。
ガキィィィィン
「ぬしさま…っ!!」
「…え?」
刀がぶつかり合う音と共に聞こえてくる声に審神者は閉じていた目を開く。
そこには、敵の刀を受け止めたままの小狐丸の姿。
「な、んで…」
「…っ!お怪我はございませんか?」
「は、はい」
審神者の返事を聞いて、小狐丸は安心したように目を細めると同時に敵の刀を払いのける。
「さぁ、ぬしさま。参りましょう」
「ま、待ってください!」
「他の者でしたらご心配なさらずに、忠光と加州清光が居ますゆえ」
「た、太郎ちゃんがっ!」
「ええ、大丈夫ですよ。きちんと救出に向かっております」
「よ、良かった…です」
審神者は小狐丸の言葉にへたりとその場に座り込む。
「ぬしさ…っ!?」
そんな慌てて審神者に近寄ろうとした瞬間小狐丸の目に映ったのは先程払いのけた敵の刀、その刀は審神者に向かっている。
くそ!!
「ぬしさま!!」
「え?」
ドンと審神者に衝撃が走り、すぐに小狐丸の身体が覆い被さってくる。
そして二度目の衝撃に審神者は目を見開く。
「…、っ!!こ、の!?」
審神者に覆い被さっていた小狐丸は、身体を反転させた反動で敵を斬り付ける。
ギャアアアアアアアア!
小狐丸の攻撃を受け、敵は苦しそうに消えていった。
「ぬしさま、大丈夫でござい、ますか?」
「あ、あああ、」
小狐丸の背中は紅く染まっている。
「敵の匂いはなくなりました故、もう大丈夫、ですよ」
ぐらりと小狐丸の身体が揺れる。
「こ、小狐丸さん!!しっかりして下さい!」
そんな小狐丸の身体を慌てて支える審神者に小狐丸閉じかけた目を開ける。
「ぬしさま、はよう…みなと合流を…私の事は、置いて…」
「なに、言って…っ!出来るわけないじゃないですか!」
「は、ぬしさま、は、ほんにお優しい…」
ボロボロと涙を流す審神者に小狐丸は力なく笑うと、そのまま目を閉じる。
「だ、ダメです!小狐丸さん!目を開けて下さい!小狐丸さん!」