第2章 戦
審神者と太郎太刀は、後方で戦況を見守っている。
「主」
「どうしました?」
審神者は余程、戦場が気になるのかじっと前を見ながら太郎太刀に返事をする。
「そろそろ、小狐丸殿には慣れましたか?」
「…ぇ…えっと…」
「…まだ…の様ですね…」
「…うぅ」
「いつもでしたら、もう慣れる頃合いでしょうに…なにか、理由でもあるのですか?」
「…」
「主」
「…瞳が…、」
「瞳…ですか?」
「瞳が…、他の刀剣男子とは違うのです…」
「違う…とは?」
審神者はふと目を閉じる。
今でも、思い出す小狐丸を初めて見た時の事を。
どこまでも綺麗な瞳をした小狐丸に審神者は自然と恐怖を覚えたのだ。 真っ直ぐと綺麗な瞳で、審神者を射抜かんとする瞳は〈野生〉を思わせた。
「あんなに、綺麗な瞳をした方を私は初めて見たのです…なので、戸惑ってしまって…」
このままではダメなのは分かっています。と審神者は続ける。
戦場で刀剣男子と敵の刀が対峙する音の中で「 妙だ。」と呟くように言ったのは加州清光か、燭台切忠光か。
「なにがみょうなのですか?」
「敵の動きが妙なんだよ。何か狙ってるのか?」
「何か…とは」
加州清光の言葉に、小狐丸はすんと周りの空気の匂いを嗅ぐ。
「…!?ちぃっ!そういう、事か!!」
小狐丸は素早く身体を翻すと、元来た場所へと走り出す。
「ちょ!小狐丸!?」
「狙いはぬしさまだ!!」