第2章 戦
「ぬ、ぬしさま!出陣するというのは真にございますか!?」
「ひぇ!は、はい!真にございまぅぅ!」
びくりと体を跳ねさせ、直ぐに太郎太刀の背中に身を隠す。
「審神者というのは、戦場に行くのなのでございますか?」
「うえ…!えっと…わ、わからないです…他の審神者さん達とはあまりお話した事がなくて…」
「ぬしさま、危のうございます故、この本丸でお待ちいただくことは出来ませぬか?」
「そ、それはダメです!」
「何故です!」
「…っ!」
小狐丸の荒げた声に、審神者はびくりと身体をはねさせると太郎太刀の背中にぎゅっと抱きつく。
「っ、も、申し訳ありません、声を荒げてしまい…しかし、訳をお聞かせ下さいませ」
「…、みんなが頑張ってるのに本丸で待機なんて出来ない…です」
しばらくの沈黙の後、審神者はそう答える。
「ぬしさま…」
「みんなには危ないから本丸に居ろってよく言われます。戦場に私が出ても何も出来ません…だけど、じっとしてるなんて…出来なくて…」
オドオドとしてはいるが、しっかりと自分の考えを言う審神者。
「ぬしさま」
「主には、私が付いております。誰も手を出す事は出来ませんよ」
太郎太刀はそう言って、自分にしがみ付いている審神者の頭を優しく撫でる。
「ありがとうございます、太郎ちゃん」
「はい。」
ふにゃりと笑う審神者に太郎太刀は優しく目を細める。
その様子は小狐丸にとって面白いものではなく、ムッとする。
「こ、小狐丸様…私の事は太郎ちゃんがいるので、大丈夫…です…」
「かしこまりました…」
納得はしていないと顔に書きながらも小狐丸は小さく頭を下げる。