第5章 お手入れ
審神者が使用している化粧台の前に小狐丸、その後ろに審神者。
二人は鏡に向かって正面を向いた状態で座っている。
「じゃ、じゃあ痛かったりしたら言ってくださいね」
「はい」
審神者は緊張しながら目の前の銀の髪に櫛を通す。
思っていた以上に柔らかく、サラサラとしている髪は櫛に逆らうことはなかった。
綺麗な髪…。
自分の髪は少し太めだから羨ましいと審神者は櫛を持っていない反対側の手で小狐丸の髪を梳く様にして撫でる。そんな審神者の手の感触に、小狐丸の耳がピクリと反応した。
「あ、ごめんなさい…嫌でしたか?」
「いいえ、とても心地よいです」
小狐丸の言葉に審神者は安堵のため息を吐く。