第5章 お手入れ
「…本当、綺麗な髪…」
審神者の呟きは、小狐丸に届いたようで嬉しそうに笑う。
「忠光さんから聞いたことがあるんです」
サラサラと小狐丸の髪が、審神者の指を通り落ちていく。
「小狐丸さんは誰よりも丁寧にお手入れしてるって」
「はい、毛並みを整えるのは私にとって大事な事ですので」
「だから、こんなに綺麗なんですね」
「…小狐丸の毛並み、気に入って頂けましたか?」
小狐丸は鏡ごしに審神者を伺うようにじっと見る。
「はい、とっても」
「…では、お願いがございます、ぬしさま」
「…?」
「またこうして小狐丸の毛並みを整えて頂けますか?」
小狐丸の言葉に、審神者は「勿論です」と答えれば小狐丸は至極嬉しそうに笑うのだった。