第5章 お手入れ
スッと小狐丸は審神者の手を取るとそこには、加州清光の爪と同じ色に染まっている審神者の爪がある。
「マニキュア…ですか?」
「まにゅ?」
小狐丸は審神者の言葉にこてんと首を傾げる。
「あ、えっと…爪紅?」
「ああ、ぬしさまの時代ではまにきゅあというのですね」
また一つぬしさまの事を知ることが出来て、小狐丸は幸せでございまする。と小狐丸は至極嬉しそうに笑う。
そんな小狐丸に、審神者は大袈裟ですと赤面しながら返す。
「そ、それで…えっと、お手入れと爪紅になんの関係が…」
「先ほど、加州清光に聞きました。ぬしさまに褒美で爪紅を塗って頂いた故、お礼にぬしさまにも爪紅を塗ったと…」
「ああ、はい。ご褒美とは言いづらいのですが…」
「ズルいです!」
「えぇ!?」
「小狐丸もぬしさまに、手入れをされたく!」
ぐっと自分の両肩に手を置いて、ずいっと身を乗り出してくる小狐丸に審神者はどうしたものか…と悩む。
いままで、勝手に怖がり避けていたのが罪悪感になっているのだ。
「こ、小狐丸さんも爪紅を塗りたいのですか?」
と審神者に問われ、小狐丸ははたと気が付つく爪紅をしたいのか…と問われれば答えは興味がない。だろう。爪の手入れをしようとは思わないが、主人である彼女に手入れをして欲しいはして欲しいのだ。