第4章 大和守安定と加州清光
「あった!はい、安定くん」
「それ…」
主の手のひらにちょこんと乗ってるのは、前に主が僕にくれた『どーなっつ』だった。
「前に美味しそうに食べてましたから、機会があれば差し上げ様と思ってたんです」
どうぞと僕の手のひらに乗せられた『どーなっつ』をじっと見つめる。
確かに甘くて美味しかった…けど、顔に出してたのか、僕…っ、恥ずかしい。
「えー、ずるい!俺も食べたい!」
「ご、ごめんなさい。最後の一個で…また今度仕入れてきますね」
「うー、約束だよ、主」
「はい、約束です」
僕は清光と話している主の頭にそっと手を置いて、撫でる。
「や、安定くん?」
「ありがと、嬉しいよ…大事に食べる」
少しぶっきら棒になったのは許してほしい。僕の精一杯の照れ隠しだから。
「はい。安定くんこそいつもありがとうございます。」
「うん。」
顔に熱が集まって恥ずかしいけど、それと同時に幸せだと思えるから、僕は主に鍛刀されてよかったと思えるよ。
「ところで、主の装束なんなの?なんでも入ってるの?」