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小狐丸と女審神者

第4章 大和守安定と加州清光


…ほっんと、煩いな…コイツ…。

目の前にまるで差し出された様な清光の頭を叩こうと手を伸ばした瞬間、襖が遠慮がちに開いて僕の視線はすぐに襖に向けられた、そこに居たのは今まで話題になってた主で僕の手は完全に止まる。

「主?」
「え!?」

僕の声で顔を上げた清光に主はにっこりと笑うと部屋の中に入ってくる。

「え、まだ仕事中じゃないの?」
「は、はい。ひと段落ついて…ここに清光君いるかなーと思いまして」

主は、どうやら清光に用事があるみたいで…ちょっと残念。

「なになに?俺に用事?」

先程の不満そうな表現はどうした!ってぐらい満面の笑みでイラつく。

「ええ、えっと…」

主はごそごそと巫女装束の袂を漁り始めると、「あった」と嬉しそうに声を上げた。
僕と清光は首をかしげるしかない。

「太郎ちゃんから、あの戦場で清光君が一杯頑張ったって聞いて何かお礼を、と…清光くん、毎日爪のお手入れするでしょう?マニキュアなくなるの早いんじゃないかなーって…思いまして」

そっと差し出されたのは、小さな小瓶だったいつも清光が寝る前に手に取っているやつで見覚えがある。

「い、いいの!?」
「はい。お礼…にならないかもしれないですが」
「ありがとー!主からなんてすっごく嬉しいよ」

そう言いながら、清光は嬉しそうに大事なものを扱うかの様にその小さな小瓶を受け取る。
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