第10章 今日のラッキーアイテムは何?
私は物忘れまで激しくなったのか....?
これでもまだ成人してないのに...。
そう思いながら外に出る。
外はもう真っ暗で照明がぽつんと立っているだけ。
「柏木。」
この声は....緑間くん...?
「あ。緑間くんだ....。」
「何をいっているのだよ。俺は緑間真太郎だが。」
いや、名前を忘れたわけじゃ...。
「ほら、これを飲むのだよ。」
そういって渡されたのはペットボトルの水。
なんで?
首を傾げる。
「....それを飲んで、聞きたいことがあるのなら早く聞くのだよ。」
え、そのために買ってきてくれたの....?
「....ありがとう。」
礼を言って、ペットボトルの蓋に手をかける。
ぐぐぐ、と力いっぱい回してみるが開かない。
ふ、蓋が、回らない....。
「貸すのだよ。」
手を出されて、ペットボトルを渡す。
そうすると、簡単に開けてくれた。
「....すごい....。」
握力強いんだなぁ。
細身だが、意外と力強いことが判明した。
「で、聞きたいこととはなんだ?」
「....あ、えっと....。ラッキーアイテム....。」
「今日の俺のラッキーアイテムは猫耳カチューシャだ。」
猫耳....カチューシャ....?
カバンの中からわざわざそれを出してくれる。
「なんだ?そんなことが聞きたかったことか?」
「....うん。付けない...の?」
「そ、そんなもの、付けるわけがないのだよ!」
付けないんだ?
緑間くんのことだからてっきりつけるんだとばかり思ってたけど付けないのか....。
「もういいだろう?」
私の手から猫耳カチューシャをひったくる。
「....うん、ありがとう。」