第23章 合宿
「赤司くん、反省会って何するの?」
「今日までの反省じゃないか?いつものミーティングとそう変わらないと思うが。」
「そっか。」
面倒くさい...。
ため息をついた。
「柏木、これは必要なことなんだ。面倒だなんて言うな。」
「...そんなこと言ってないけど。」
「心の中で面倒くさいと言っただろう?」
心の中を読まれた...?怖っ。
「...言ってない。」
「それならいいんだ。どうぞ。」
襖を開けて中に入るとすでにみんな集まっていた。
最後に入ってきたからか注目された。
部員の後ろに二人で並んで座る。
監督、コーチ、主将、副主将の順で話をしている。
それを真剣に聞く部員たち。
その様子を私は後ろでじっと見ていた。
好きだから一生懸命になれるって虹村さんは言ってた。
私にもそんな時があった...と思う。
昔のことはあんまり覚えてないから何とも言えないけど、好きだったから一生懸命やってた頃もあった。
でも今は...。
今はもうそんな気持ち忘れちゃった。
『本当に忘れちゃったの?...忘れちゃったんじゃなくて忘れたいんじゃないの?』
そんな声が頭の中に響く。
嫌な黒い靄が私を支配する。
怖い。怖い。怖い。コワイ。
「ちゃん...由良ちゃん?大丈夫?」
一気に現実に引き戻された感がある。
さつきが私の肩に手を置いて心配そうな顔でこっちを見ている。
私は息を吐いて、さつきに笑いかける。
「大丈夫だよ。ちょっと考え事をしてただけだから。心配しないで。」