第23章 合宿
虹村さんは私が肉を食べ終わった後も色んな野菜をお皿に乗せてきた。
私はそれらを自分のペースでゆっくり時間を掛けて食べる。
虹村さんは私が食べている間は何もお皿に乗せてこなかったからそれは良かったと思っている。
食べ終わった頃にはもう私たちの大皿には肉も野菜も残っておらず隣の虹村さんは椅子に座って満足そうにお腹を擦っていた。
他のところを見ても同じような光景が見える。
私もいつもよりたくさん食べてお腹がいっぱいだ。
「皆さん、夕食は満足していただけましたか?今夜がここで過ごす最後の夜とのことなのでデザートもご用意致しました。」
佐藤さんが頃合いを見計らってみんなの前に出てきて言った。
「デザート?なんだろうな?」
「さあ、俺は何も聞いていませんが。」
「....。」
デザートと言った途端、みんなががやがやし始めたが佐藤さんは気にせず皿に綺麗に盛り付けられたゼリーを配り始めた。
私は席を立って手伝いに行く。
佐藤さんからゼリーの皿を受け取り席に置いていく。
「これは...はちみつレモンのゼリーですかね?」
「あぁ。俺らが昼間食べてたレモンのはちみつ漬けの味がする。」
「でも美味しいです。」
「そうだな。」
佐藤さんの作ってくれたゼリー、みんな喜んでくれてる...。
良かった。
実はこのはちみつレモンのゼリーの元は私なのだ。
合宿前にレモンのはちみつ漬けをここに送っておいたのだが、同じものをみさきなでしこが作っていたことを知らなくて急遽佐藤さんにお願いをしてゼリーにしてもらった。