第23章 合宿
「そういやオメーって味しないとか言ってたよな?いつから?」
不意に虹村さんから質問が飛んできて驚いた。
考えていることを質問されたから更に驚いた。
「...去年の12月ぐらいから、だった気がする。」
確かそのくらいな気がする。
正確な時間なんて分からないよ。気づいたらなってたんだから。
少なくともその頃にはもう味がしなくなってた。
「へぇ。それってなんかきっかけあったりすんの?」
「さぁ?さとりんはストレスだって言ってたけど。」
「さとりんって?」
「病院の先生だそうですよ。」
赤司くんが話に入ってきた。
「病院の先生?さとりんってあだ名だよな?」
「うん。」
「病院の先生をあだ名で呼ぶほど仲がいいってどんだけだよ...。」
「...別に。ちょっと付き合いが長いだけ。」
「そっか。オメーにも色々あるんだな。」
そう言われて頭を撫でられた。
この人に頭を撫でられるとやっぱり心地いい。
小さい弟や妹がいるから慣れてるせいかな。
ま、なんでもいいや。
途中からご飯を食べるのがつらくなって箸が止まっていたら後ろから急に現れた紫原くんが食べないならと私のご飯を半分ぐらいもらっていって食べてくれた。
そのおかげで私はなんとか食べ終わることが出来た。
「紫原くん、ありがとう。ご飯食べてくれて。」
とりあえずお礼は言っておいた。
多分紫原くんにしてみれば私を助ける気なんてなくてただそこにご飯があったから食べてくれただけだろうけど、でも、私はそれで助かったからお礼を言った。
「なんのことか分かんないけど、どういたしまして~」
思った通り紫原くんは分かっていなかった。