第1章 旅の始まり
ある賑やかな街。そこで私とアラジンは他愛のない話しをしながら歩いていた。
私の名前はユキ。15歳である。
ここはアラジンと共にウーゴ君と呼ばれる方に送り出された場所である。私もアラジンも初めて見る物などがたくさんある街であった。
「あ!あれを見ておくれよユキ!面白いなぁ~」
『ほんとね、ってあれ!アラジン見て見て!あれも凄いよ!』
「わ~ほんとだね!凄いや!」
2人して初めて見る物に興味津々で食いつく。
こんなに大勢の人を見るのも街という大きな場所に来るのも初めてだったからか、感動がまったく止まらずに私達はずっとはしゃいでいた。
そんな賑わう街の中、私はふと美味しそうな果物を見つけたのだ。
なんだかお腹がすいていたし、アラジンともずっと何かを食べたいと言っていたので、私はそんな彼にそれを教えた。
『ねぇアラジン、あれ美味しそうじゃない?』
指差した先には勿論さっきの果物。あの食べ物は本で見たことがあった。だから安心して私もアラジンも頷き合ってそちらへ近づいたのだ。
「ほんとだね!これ食べようよ!」
『そうね、半分に分けましょう!』
「うん、美味しそうだねユキ!」
そんな会話をアラジンとしながら私は彼とそれを半分に分けてムシャムシャと食べ始めた。
口の中に甘くて美味しい物が広がり、私とアラジンは2人して顔を合わせた。
想像していた通り、とても美味しい果物である。
そして何とも嬉しい事にその果物は何個もゴロゴロと転がっていたため、私とアラジンはニタリと笑いながらそれらを全て食べ尽くしたのだ。
「ねぇユキ、この世界にはこんなに美味しい物がたくさんあるんだね」
『そうね、幸せ』
なんて、顔を合わせながら話していた時、何か後ろから恐ろしいオーラを感じて私とアラジンはそちらを振り返った。
「……お前達……」
そこには、金髪の青年が1人。
私とアラジンを死んだ顔して見ていた。
私とアラジンはその途端に顔を見合わせ、そんな彼をガン見しながら口を開いた。
『どうも、私はユキ、こっちがアラジン…旅人です』
そう言ってそんな青年に微笑みかけた瞬間、私とアラジンは何とも雑に向こう側へと放り投げられてしまったのだ。