第4章 ビターラブ/エドワード・エルリック
本当はアルにもチョコを渡したいが、彼の体は無い。鎧の中にあるのは、エドが書いた血印とそこに宿る魂だけ。つまり、寝ることも食べる事も彼は出来ないのだ。
寒さを感じないとは言え、マフラーがあれば少しは"魂"が温まるだろうと彼女なりに考え、マフラーをアルにあげる事にしたのだ。
「すごく嬉しい!!!」
実際、こんなにもアルは喜んでいる。
も嬉しくなり、一緒にその喜びを分かち合った。
「………エド。はい、これ……」
ウィンリーは耳まで赤くしながら、あのプレゼントを彼に渡した。それに対し、エドも同じように顔を赤らめ、受け取った。
「……サンキュ、ウィンリー」
二人の間に甘い空間が広がる。
ますます、は渡すのを躊躇う。しかし、アルが彼女の背中を押した。
「も兄さんに渡すんでしょ?」
毎年の事。だけど、今年はいつもとは違う。
二人の視線がに集まる。
渡さなきゃいけない雰囲気がその場に流れ、は勇気を出し、エドに手渡した。
「……義理だからね!!」
「……? あ……お、おいッ! !?」
は部屋から飛び出した。