第3章 僕から君へ/ヒソカ
手に小さな箱を持ち、ニヤニヤといつもより不気味な笑みを浮かべ、道化師は近づいてくる。それに合わせ、彼と向かい合ったまま、一歩また一歩と私は後ろへ足を進めていく。
「どうして逃げるんだい?」
「そりゃ、そんな怖い顔で近付いてきたら逃げもするよ!」
ペタペタと自分の顔を触り、「そうかな?」と首を傾げるヒソカ。
はぁ……。おとぼけなのか素なのか、全く分からない。
「、甘いモノ好きでしょ?」
「嫌いじゃないけど……」
「けど?」
「……ヒソカがくれる甘いモノはいらない」
「どうして?」
「忘れたの!? この間、ヨークシンで買ってくれたキャンディ!!」
あれは酷かった……。
味も最悪だったし……。
けど、ヒソカは満面の笑みで言ったんだ。
「コレ、お土産♪ 美味しいから食べてごらん◆」
差し出されたピンクと黄色のチェック柄の包装紙。その中にコインサイズのピンク色をしたキャンディが入っていた。
見た目も可愛かったし、何の警戒もせず、私はそれを口にした。
そして……