第8章 〜奇蹟〜
用意された尸魂界では珍しい洋食達が、あっという間に巨漢達の胃袋に言えて行くのを、玲はきょとんと見つめていた。
多めに作ったつもりだったのだけれど。
大男達の胃袋を少しなめていた様で。
がつがつと料理を平らげていく狛村と更木に、他の死神達も取られまいと必死で。
「…あ〜狛村。お肉あげる」
「本当か?!」
ぽんっと大きな骨つき肉を創造して、人狼の方へ投げると、幾分食卓が穏やかさを取り戻して。
「犬扱いかよ」
呟かれた冬獅郎のそれに、反応出来たのは以前見た事があった桃だけで。
「…狛村隊長…、かわい…じゃなくて、えっと」
言いかけた言葉を訂正しようと必死な桃の前から、次々と料理が消えていく。
「あぁ!酷いです、更木隊長!」
「あぁ?食わねぇんじゃねぇのか」
ぎらりと目を光らせて威嚇する更木に。
「更木さん。そんなに縛道が好きなのね?」
にっこりと笑みを浮かべた玲が問うと。
「…チッ、しゃあねぇ。これぐらいにしといてやるよ」
見事に引き退った更木を見て、他の隊長格が密かに拍手する。