第8章 〜奇蹟〜
「朽木。玲は…」
「取り敢えず今は安定している。元の部屋へ連れて行け」
玲を預けると、彼は意外そうに白哉を見る。
「どういうつもりだ?」
「枯渇寸前の魂魄に直接霊力を送る法。少し考えれば分かるであろう」
告げると、不快そうに寄せられる眉間の皺。
しかし、白哉とて預けたくて預けるわけでは無い。
「不服なら、私が運ぶが」
冬獅郎は何か言いたそうに口を開いたが、結局何も言わずに踵を返した。
「私も休むか…」
ご丁寧に扉に下げられたプレートを見て苦笑を浮かべ。
白哉は、凡そ半分に削られた自分の霊力を戻す為に、自分の名が下げられた部屋へと足を向けた。