第7章 〜現世〜
「と、言うわけだ。今からお前達四人で現世に行ってもらう」
乱菊、檜佐木、吉良、綾瀬川に説明を終えた冬獅郎は、ふっと息を吐いた。
始業時刻を過ぎても、一向に現れない玲に、嫌な予感が拭えないためだ。
「それって…結構汚れ仕事ですよね?副官の皆さんは兎も角…この汚いものが何より嫌いな僕まで何故…」
「更木に聞いたら、お前が一番暇だって言ってたぞ」
「そんな?!…いえ、何でも、ありません…」
密かに涙を流す綾瀬川を無視して、冬獅郎は告げた。
「じゃあ、分かったな。出来るだけ急いで現世へ…」
「私も行くよ!」
「…”お前達だけで”行ってくれ」
「あ、冬獅郎!無視したでしょ!」
言葉を遮った声にぴくりと反応を示すも、無理矢理言葉を繋いだ冬獅郎に。
瞬歩で駆けて来たかと思うと、部下達の前であろう事か恥ずかしげもなく抱きついて来た玲。
「馬鹿野郎!離せ!つーか、なんでお前が行けるんだ!許可出るわけねぇだろ!」
言葉で怒鳴りながらも、引き離そうとはしない冬獅郎に、乱菊が微笑ましげな視線を送る。
「やだ。許可なら白哉にも総隊長にも取ってきたよ」
「はぁ?!」
「だから冬獅郎が許可くれれば私も行けるもん」
「いや、待て。朽木が許すわけねぇだろ?どうやって丸め込んだんだ」
流石にいつまでも抱き着かれているわけにも行かず、玲の肩を掴んで引き離しに掛かる冬獅郎。
しかし、はっきりと彼女の瞳が悲しそうな色を映すと、脱力して溜息を吐いた。