第7章 〜現世〜
「何を…」
目を大きくした彼を至近距離で見つめて、眉を下げる。
「どうしてもダメ?」
「…っ駄目だ」
「白哉」
真っ直ぐ見つめると、彼の瞳が迷いに揺れる。
もう一押し。
「ねぇ、お願い」
さらりと流れる黒髪を手で梳いて、吐息の掛かる距離で見上げると、漆黒の瞳が苦しげに逸らされた。
「…好きに、するがいい」
「わぁ、白哉、ありがとうっ」
ぎゅっと抱き着くと、溜息を吐きながらも受け止めてくれる彼に頬擦りして。
「総隊長の所行ってくるね!」
ちゃっかり死覇装に着替えて、肩に掛けられる薄衣も創造して。
屋敷を飛び出した私の姿を見送った白哉が、再び大きな息を吐いた事には気付かなかった。