第1章 喪失
引っ掛かった狭い入り口を押し拡げるように男の人は力を込めてきた。
痛い!凄く痛い!
「っ、く、狭い…」
苦し気に唸った男の人は逃げる私の腰を掴むと、更に強引に進めてくる。
「ふぐっ、ん、んんんー」
めりめりと体が軋む。逃げようとするのだけれど、手も足も捕らえられていてろくに動けない。
「あ、あぁ、ゃ…」
言葉が出た。どうやら涎で濡れた布は水分を含み、更に動き回ったせいでゆるんでくれたらしい。
「やめて、下さ…っ」
涙でしゃくり上げながらも、私はなりふり構わずに懇願した。
「お願いです、もう、やめ…いっ!?」
疲れきって掠れた声も相手には届かないのか、気にせず男は硬い自身を私の中へと埋めてくる。
その動きが一度止まった。
私は願いが通じたのかと僅かな望みに顔を上げた。けれどそれは勘違いだった。男の人は私を抱き締めると、掴んだ腰を強く引き寄せた。
「いやぁ!!」
ブツンと体の中で音がして中の何かが破れた。激しい痛みに目めまいがした。すると遮るものが無くなったのを良いことに男の人はそのまま奥へ奥へと侵入して、誰も触れた事がない私の内側に触れていた。
「ぁ、あ、痛い…痛いよぉ…」
グスグスと鼻を鳴らして啜り泣く。異物をくわえ込んだ下腹部がジンジンと傷んで熱くて、与えられる圧迫感が苦しい。
男の人は私の頬に唇を押し当てて来た。次は少し下を、次は耳を、次は涙で濡れた布の上から瞳へと唇を何度も押し当てて来る。
優しいまるで恋人にするような仕草に私は一瞬抵抗を忘れて浸ってしまった。
きっと混乱しすぎていたんだと思う。
「すいません、でも貴女が悪いんですよ」
男の人は辛そうにそう囁くと、埋めていた自身を引いた。ズズッと音がしそうなそれに体が強張る。内臓ごと引き抜かれそうな恐怖に歯がカチカチと鳴った。
「やぁっ!」
引いたと思ったら、今度は先程の位置まで一気に突かれた。鉄の杭が打ち込まれるような痛み。それが何度も何度も繰り返し与えられる。
泣いてお願いしても許してもらえない。
「あっ、あぁっ、や、やぁあ…」
「っ、く!!」
揺さぶられるままに体を揺らし、どれくらい耐えただろうか。私の中に熱い液体が注がれた。それは結合部からも溢れて地面へと落ちていく。
「っはぁ、はぁ…これで、貴女は私のものだ」
私はその言葉を最後に耳にして意識を失った。