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騎士の恋

第2章 療養


●ナギ●

セルナール様が彼女を見かけた時、その日だけ機嫌が良くなる事に気付いたのは何時だっただろうか。

セルナール様のお家は厳格で、この国で宰相を務めるお父上もとても怖い。子供の頃から勉学に剣術にとセルナール様は厳しくしつけられていた。それに全て期待以上で応えて見せたセルナール様が、実は陰でとても努力をしていらっしゃったのも知っている。

そんなセルナール様は小さな頃から笑顔を絶やさず、歳上受けもすこぶる良かった。初めて会った時なんかは、何処のお姫様だろうと思ったくらいに可愛らしかった。
…後で性格を知って後悔したけれど。

とにかく、外見はもう自国他国問わずに注目を集める、そんな人だ。でも外見だけじゃない、頭も凄く良くて自分の外見を生かして交渉を有利に持っていく様子なんか見てると流石だなぁと思う。それに剣の腕も立つものだから非の打ち所がない。
…性格以外は。

性格…まぁ、セルナール様の性格は独特と言うか…
セルナール様の見た目は例えるならば、穏やかな春の日差しの様なそんな温かな感じなのだけれど、性格はそうではない。
僕に初めて会った時、セルナール様は美少女の様な外見に可愛らしい笑みを浮かべて、蹴り飛ばされ地面に倒れる僕の背中を踏みつけながら「チ○コ切り落としてやりましょうか」と素敵な笑みで平然と言ったのだ。めちゃ怖かった。

騎士団に入った後も、一晩で船を300隻用意しろとか幻の薬草を手に入れてこいとか無茶ぶりをされまくっている。
親友のリキヤさんを独りで他国の大臣暗殺に行かせたとか行かせないとか、そんな噂もある。

でもセルナール様は、無茶は言うけど無理なことは言わない事を僕は知っている。出来る出来ないのギリギリの境目を狙って命令してくるのだ。
それと孤児院にこっそり寄付をしていたり、死んだ仲間の為に必死で騎士団の改革に励んだのも知っている。
本当はお優しいかたなのだ
……………………多分。


だからセルナール様程の人が想いを告げるなら、彼女もきっと喜ぶに違いない。そう言ったのだけれど、セルナール様は納得しなかった。
セルナール様が幸せになると良い。それには彼女に元気になって貰わないといけない。
彼女の様子が気になるから、時々会いに行って様子を見てみようと思う。
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