第1章 喪失
「んむっ!んんー!!」
口を塞がれて声を出すことが出来ないかわりに、バタバタと足を思い切り動かして手当たり次第に蹴りまくった。
「いてっ!いててっ!」
見事に私の蹴りは相手の何処かを蹴ったのだろう、痛がる声が聞こえる。目隠しをされているから、本当に私程度の蹴りが何処まで効いているのかは疑問だけれど。
「おい、ちゃんと押さえろ!」
「は、はい」
途端に私の足は押さえ付けられて動けなくなってしまった。男の人は二人、後ろから抱き込むように私を抱える人と前から足を押さえ込む人。
背中に当たる硬くて冷たい甲冑の感触と、目を塞がれる前に僅かに見えた剣に嫌な予感がした。
多分、二人は騎士だ。
二人の声、何と無くだけれど聞いたことが有るような気がする。けれど誰だかは思い出せない。
「おい、早くしろ!」
「わかってますよ!」
背後に居る男の人が前で足を押さえる男の人を急かした。急かされた男の人は私の足を無理矢理に開く。すると空かさず背後の男の人が足を絡めて私の足が閉じないように押さえ込んだ。
そして私のシャツを引っ張り、裾から手を差し入れて胸へと触れて来る。
「んぐっ!んんー!!」
まさか、とこれからされる事を想像して冷や汗が吹き出た。この人たちは私を犯そうとしているのだろうか。
柄の悪い身分の低い騎士が時おり街の裏路地などでそう言うことをしていると言う話しは聞いたことが有る。でもそれは本当にごく一部の人で、狙われるのは話題になるほどの美人とか可愛い子とか…とにかく平凡な私には無縁だと思ってた。
しかもここはお城の中だ。
胸を揉むように掌で遊んでいた男の指が胸の頂を摘まんだ。そして親指と人差し指で転がすように刺激する。
「っ!ふ、ううーッ」
強い力で押さえ込まれて動けず、目も口も布で縛られて目も見えず声も出せない。
男がスカートをたくし上げ、下着の上から割れ目へと触れてきた。指の腹で何度も優しく擦り上げてくる。
私はその動きに体を強張らせた。
何で、何でこんな事になったんだろう。
私は今日の出来事を思い出していた。