第7章 私が、金髪軍服の男に(わざと)ぶつかった話
「痛みます?」
「え!あ、いえ!平気です!最近、仕事が忙しくて。」
「あー。そうですよね。人が足りないですからね。」
「ヒューズ大佐いい匂いするので。安心しちゃって。」
きゃるん。
「え。いい匂い?まずったかな。」
まずった?
も、も、も、もしや!この匂いは女の人の匂いか!
くそう。既に人の手に渡っていたとは!何奴!
いや。まずった。と言ったな。
これは、私に嗅がれてはまずい匂いだったと言うことなのだろうか。
私に、他に女がいる事を感づかれたことに対しての、まずった。なのだろうか!
そうだ!そうに違いない!
私、万歳!
「よー。ビーネ。って、またかよ。」
「やぁ、エドワード。あれかな、僕働き過ぎて前見えてないのかな。」
「寝不足だろ。」
「それは君の所為だ。」
「うるせぇ。」
前方から、赤いコートを着たヒューズ大佐と似たような金髪の男。
軍服を着ていないが堂々と廊下を歩いているところを見ると、軍の関係者なのだろう。
私の事など気にせず近寄って、ヒューズ大佐のおでこをパシリと叩く。
「ってーなー。怪我人抱いてんだぞ。」
「あーあ。錬金術が使えたなら、その口塞いでやるとこだぜ。」
「僕も、手が開いてたなら、すぐにでも君をミイラにしているところだよ。」
フ。と離れていく赤いコートの男。
うん?
ヒューズ大佐と同じ匂い。
ヒューズ大佐のご兄妹は年の離れた可愛い妹さんと聞いている。
では、彼は一体誰なのだ。
友人?