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七色の雫 短編

第4章 私が、金髪軍服の男にぶつかった話




「あ!」

どん!とベタな曲がり角で誰かにぶつかった。
私の大事な眼鏡が飛んで行ってぱりん!と音がしたことに、今日は最悪な日だ。と言わざるを得ない。

「大丈夫か?」
「い、いえ。すみませ…ん」

もちろん目が悪いから眼鏡をかけている訳で、顔を上げても相手の人が男の人で長い金髪だと言う事しか解らなかった。

「悪かったな。前見てなくて。」

ぐい。と腕を掴まれ立ちあがると、もちろん私より背が高い。
引っ張られた力が意外に強く、私はふらりとその人の胸に抱かれる形になってしまった。

「ふぁああ!!すみませんん!」
「あ、わり。ホントに大丈夫か?ふらふらしてるぞ?」
「へ、へい平気です!」

おおおおお男の人にぎゅって!ぎゅってぇえ!!
は!すみません取り乱しました!

新しい体制になってからこのアメストリス軍に就職した私。
今の今まで、軍服かっこいい!萌え!の一つで勉強や体力作りに勤しんで来た私には、お察しの通り彼氏いない歴=年齢です。
男の人に興味がなかった訳ではありません!
でも、でもでも!

「だ、大丈夫か?顔真っ赤だぞ。」
「あのさぁ。エドワード君。君はいつまで女の子を抱きしめている訳?変態なの?そうでしょ?」
「うわっ!すまん!すみませんでした!」
「こりゃ、ロイに良い土産話が出来たなぁ。」
「ばっか!これは人助けだ!」

唐突にぱっと放され、ちょっと残念でした。
そこでようやくぼやけた視界に気が付き、眼鏡が飛んで行った事を思い出した。

「あ!あの!眼鏡!眼鏡知りませんか?」
「眼鏡?」
「あぁ。エドワード君が踏んでいる奴の事だね。うわぁ、ばらばら。」
「うわっ!!」

私を抱きしめてくれた目の前の男の人。その後ろから別の男の人の笑い声が聞こえる。
聞いた事がある声。
眼鏡の事を頭の端で心配しつつ、その声の記憶をたどる。

「ごめんな。ホントごめん!」
「い、いえ!大丈夫…じゃないですけど。」
「あーぁ。ほら、貸しな。」


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