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炎の月に架かる虹【ONE PIECE】

第11章 華の前世


『怖がっているのは、ここで殺されたから』
「…あ…あなたは私の前世?」
『実際に言うとそうなるわ。』


震えが止まらない。
記憶に焼き付いた死に際と死へ誘う痛み。
ここで、昔殺された。


『運命によって導かれたのよ、あなたは。』
「…運命?」


言葉に覇気がない。
心の底から恐怖している。


「何を…」
『終わらせるの。』


運命を壊すために。
決まった運命を白紙に戻すために。


『琥珀の涙と翡翠の血を立てかけて。』
「はい。」


祭壇の反対側に立てかける。


『手袋を取って双剣に触れて。』
「は…」
「ラーラっ!!!」
「!!」


サボが息を切らして現れた。
勢いに任せてラーラの元へ向かおうとする。
立ちはだかるエリズィエラ。


『stop』
「え…動かねェ。」
『邪魔をしてはいけない。必ず彼女は返すわ。』
「今すぐ返せっ!!」


エリズィエラはラーラの背中に触れた。
するとサボを見まいと顔を歪めていたラーラの表情が変った。
何も思い浮かべていない。
何の感情もない。
冷たくも、温かくもない。
マリオネットのように意思を失くした。


「テメェ、何したッ!!」
『あなたのせいで邪心が入らないようにするの。終わったら戻すから。黙っていて。』


ラーラは手袋を外した。
そして両手で双剣に触れた。
双剣はパァッと光輝き、錆び付き始めていく。
そして砂のようにサラサラと形を失くした。


「ッ…」
『これで安心できる。』


エリズィエラはサボの元を離れてあるものを取り出した。
それは柄に瑠璃の奇石がついた剣。
瑠璃の命だった。


「そいつで何する気だ。」
『終わらせるの。』
「!!」


その言葉に冷や汗をかいた。
ラーラを、殺す気か?


「おい!やめろっ!!」
『黙りなさい。』
「エリズィエラ様、」


温度のない声が響く。
その目はサボを捉えない。


『この奇石に触れて。』
「はい。」


壊す気なのだろうか。
ラーラはそれに触れた。
だが、剣は錆び付かなかった。
エリズィエラはラーラに触れた。


「ッはァッ…エリズィエラ様!!」
『ありが…とう……やっと消える…ことが……できる』
「エリズィエラ様…」
『あなたの…名前の意味は……古代文語…で幸…という』
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