第10章 華の行動
ラーラは用意された部屋から一歩も出なかった。
食事は部屋の外に置かれたものを食べる。
そしてシルキーズフォレストに近づくにつれ高まる鼓動。
琥珀の涙も夢に現れた。
「終わらせる。」
何度も呟くその言葉。
双剣をシルラ宮殿に還したとき、何が起こるのだろう。
_お前は分かっていない_
突如聞こえたアンバイドの声。
ラーラは琥珀の涙を掴んだ。
琥珀の涙はまるで、光を解放するかのように光り始めた。
記憶の光。
「やめてッ!!彼らが思い出したらどうするの!!?」
_こんな甘ったるい記憶を俺にメモリーするな_
「ダメッ!!!」
光は放出され続けた・・・
「なぁコアラ、やっぱ変だ。」
「うん。何か忘れてるような。」
今朝から調子が狂う。
何か、大切なものを失くした気がする。
『ダメッ!!』
光の泡が現れて、映し出された銀髪の女。
何故だか見覚えがある。
『やめなさい!!記憶を思い出させてはダメよ!』
「コアラ、この女…」
「うーん、どこかで見たよね。」
『やっとシルキーズフォレストに着くのよ!?こんな後ろ髪引かれる事してどうするのよ!!』
光の泡にノイズが混じる。
『や…て……ダ……メ』
「ッおい…」
バタン…
隣に立っていたコアラが倒れた。
コアラだけじゃない。
見張りも、全員が倒れている。
「俺だけ…?」
『アイ…シテ……ル…』
「この女は…」
眠っていた・・・いや、忘れていた記憶が解放する。
「ラーラッ!!!」
_全て無駄・・・水泡に帰した_