• テキストサイズ

紗希物語【銀魂】

第2章 デートのしかた


「……そろそろ帰る?」

 おそるおそる訊いてみた。気持ちが表に現れないように気をつけながら。

「どーするかー。帰っても暇だしなー」
「銀さん、結婚とかしてないの?」

 ぶっと、呑んでいた水を吹きそうになるくらい、びっくりしたらしい。

「おまえさ、本当にオレのこと何にも知らねえのな……」
「え? うん……」

 なんにも、知らない。

「結婚なんてしてて、おまえとこんな風にしてるところ見つかってみろ。そしてどうなるか考えてみろ」

 それって、結婚してないってことだよね?

「じゃあ……」

 恋人もいないの? って訊こうとしてやめた。さっきとおんなじ台詞を返される気がしたから。

「おまえさ」

 ちょっと呆れたように、銀時が言う。

「よく知りもしねえ男に、こんな風にあちこち連れ回されるなんてよくねーよ? あぶねーし。もし俺がこのまま、おまえを誘拐したり、変なことしようとしたらどーすんだ」
「ええ? でも、銀さんいい人だってわかるもん」
「あのなァ、そんな風に簡単に人を判断したらいけません」
「銀さん明日は忙しい?」

 明日忙しいなら、遅くまでつきあわせたらだめだ。

「ぜーんぜん。おまえは?」
「わたしは……」

 明日は、ちゃんと戻らなくっちゃ……。

「びみょう、かな」

 明日、戻れるのかな。わたし。

「今晩どーするつもりでいるわけ? まさかうちに泊まる?」
「……だめ?」
「だめじゃねーけど。身の安全は保障しねーよ。もうそろそろガキじゃねーんだし」

 それってどういう意味? 泊まったら襲うかもってこと?

 答えあぐねていると「今度いつ暇?」と銀さんが話題を変えた。

「今度?」
「どっか行こうぜ。ああそうだ。月末に花火あがるんだよ、歌舞伎町で。見にいかねーか? 夏用の試作品だけどよ」

 花火……。また、会ってくれるんだ。

「うん。行きたい」
「決まりだな。土曜、予定明けとけよ?」
「うん。ありがとう」
「よし。じゃあ、帰ろーぜ」
 
 ドクンドクンと高鳴る胸に手を当てて、紗希は返事をした。

「うん」

 銀さん、わたし、大変なことに気づいちゃったかもしれない。

 わたし、銀さんのこと……

/ 60ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp