第1章 彼や彼との出会いかた
肌寒さで目が覚めると、素っ裸だった。布団からはみ出し、体の半分は畳に転げ出ている。
時計を見ると、もう昼だった。11時を過ぎている。
銀時がいつも気持ち良く眠っているそのスペースには、同じく素っ裸の、白くて柔らかい、女の身体。さらりとした長い金髪をとどければ、うなじや背中にちらちらと赤いマークがのぞく。まだ新しいそれらは全て、寝る前に銀時がつけたもの。
欲情し、再び彼女に手を伸ばした。
「銀時」
凛とした声。起きていたらしい。
「なに」
構わず、女に跨り豊満な胸に顔をうずめる。
「アタシの頼みを聞いてもらう……」
またそれか。昨日からずっと言っている。
「はいはい、もう一発、済んだらな」
「嫁がせたい娘がいる。銀時、お前にだ」
「だからバカ言うなっての。おまえよりいい女だってんなら、考えねえこともねーけど。なあ? 由紀」
もちろん冗談。どんな娘だか知らねえが、もらう気なんてさらさらない。
「まあでもおめーみてぇなクソビッチは嫁にするなんて御免だけど。つか悔しくねえの? オレの性欲処理につかわれて」
女、由紀は、抵抗する気はないらしく、されるがまま、話を続ける。
「別に。アタシだってお前を性欲処理に使っている」
あっそ。かわいくねえ。
「万事屋だろう、金なら払うさ。アタシの身体が欲しいってんならそれでもいい。その代わり、あの娘をお前に任せたい」
「ふざけんな。オレのことはお前もよーくわかってんだろ。金はねえし、甲斐性もねえし、だらしねえし、金はねえし。幸せになんて」
「するさ。わかっているから頼んでんだ」
「おい」
ホントに何を言い出すんだこの女。