第9章 和婚式
…挿れるのが怖い、と思ったのは、初めてだ。
早瀬が痛い思いをするんじゃないか。
俺の理性は暴走しないだろうか。
俺…早瀬の初めてにふさわしい
行動をとってやれるだろうか。
早瀬のまぶたにキスをおとす。
『目ぇ、つぶれ。
その方がきっと、痛みに耐えられる。』
…本当は、俺の顔を見てほしくないんだ。
迷いの多い、今の顔を。
最後のつもりで、心を込めて
全身にキスをする。
首筋にも。唇にも。胸にも。指にも。
太ももにも。そして、割れ目にも。
もらうよ、早瀬。
お前の大事なもの。
お前にとって、
今夜が忘れられない夜になるように。
キツく抱き締める。
割れ目にあてがったモノを
ゆっくりと挿れていく。
指で慣らしたとはいえ、
まだまだ中はキツい。
メリメリと、
中を割くように通していく。
俺の背中をつかむ早瀬の手の力が
苦痛を表している。
『まだ半分くらいだけど…ここまでにしとくか?』
『いやだ!
私、大丈夫だから…全部、お願いします…』
早瀬の覚悟。
それに、応えたい。
ゆっくりと時間をかけて、
最奥にたどりつく。
『早瀬、全部、入ったよ。』
『先生…』
開いた目から、
コロリと涙がこぼれ落ちる。
『先生、これ、幸せの涙だから、
心配しないで下さいね。
お願い。先生のやりたいように、して。』
俺なんかよりよっぽど、
早瀬の方がしっかりしてるな。
ここで必要以上に遠慮するのは、
優しさじゃないだろう。
いつもよりゆっくりと、
でもストロークは大きく、
激しさというより
いとおしさを込めて
何度か打ち付けたところで、
俺は、果てた。
体の上に倒れこんだ俺の髪を
早瀬が優しくなでてくれている。
…ここ数年で、
一番心安らぐひとときだった。