第9章 和婚式
『早瀬、準備、しような。』
横たえた早瀬の脚の間に座り
指を一本、ゆっくりと入れる。
入り口から、丁寧に。
顔を手で覆っている早瀬。
表情は、見えない。
今は、見えなくていい。
俺の顔も、見てほしくないから。
多分、今の俺は、
男らしい顔でも、
教師らしい顔でもないはずだ…
こんな顔をした俺を
早瀬の記憶に残したくない。
愛液が溢れてくる。
もう一本いれた指が
自由に動かせるようようになった頃には
少し、感じてるような吐息も
聞こえてくるようになった。
いよいよ、かな。
…卒業式の日、
早瀬と交わした握手。
あのときと同じだ。
初めてつないだ手。
離した時が、終わりの始まりだった。
今から俺たち、初めてつながる。
その先に待っているのは、
終わり、だ。
それでも、
先に進む以外の選択肢は、ない。
…胸が痛い、という言葉の
本当の意味を
初めて知った気がする。
『早瀬、挿れるぞ。』
顔から手を離し、
俺の目を見て黙って頷く早瀬。
あれこれ考えても、きりがない。
今、できることは、1つだけ。
早瀬を、女にしてやること。