第9章 和婚式
…とは言ったものの。
最近の女子高生はなかなか積極的だ。
『岩泉先生、彼女いるんですか?』
『岩泉先生、どんな女性がタイプですか?』
『岩泉先生、初体験、いつでしたか?』
『岩泉先生、私の友達、
彼氏とキスしたらしいです。』
俺が一人で体育教官室にいるのを
見計らっては、そんな話をしてくる。
こいつ、男、ナメてんな…
俺だって、
健全な20代男性だ。
女子高生が
自分からすり寄ってくるなんて状況、
嬉しくないはずがない。
及川だったら…
すぐにでも押し倒すだろーな。
花巻だったら…
あいつも似たようなもんか。
松川だったら…
あいつは年上好きだったな。
俺は。
俺は、
…ギリギリのところで堪えていた。
もはや、修行だ。
気がつけば、早瀬の姿ばかりが目につく。
まぶしい体育服姿も。
制服のスカートが
ひるがえって見える太股も。
大きめのジャージの袖から
半分だけ見える細い指も。
色つきリップでツルンと光る唇も。
同じ制服の女子生徒の群れの中、
早瀬だけはすぐに見つけられる。
それくらい、
ギリギリだった。