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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



『…いらっしゃ…お、黒尾さんか。』

『今日は、アキは来ねぇから。』

『そうかい…ビール?』

『ん。あと、適当にお願いしていい?』

ビールとおでんの盛り合わせ。
…皿の中は、
俺が始めに食べたいものばかり。
アキと一緒で、ここの大将も
俺のことをよくわかってくれてる。

あんまり気にしたこと、なかったけど
この街に、俺の居場所がちゃんとある。

それを、全部手離して一人で転勤…

おかしいよな。
たった1年前は
この街にいたくなかったはずなのに。
たった1年で
この街から離れたくなくなった。

大事なものが、増えたんだな。
いつも、そう。
失うときに、気付くんだ。

一人で平気だと思ってた。
でも、二人に慣れたら
もう、一人はとてつもなく淋しい。

『…どうした?アキちゃんと何かあったか?』

大将に、話した。

九州に転勤になりそうなこと。
アキを連れていきたいこと。
でも今、彼女は仕事が楽しいこと。
このまま遠距離恋愛にするべきか、
籍だけ入れて単身赴任を選ぶべきか、
どう考えてもどっちがいいか
わからないこと。

『…なんつー、タイミングだろなぁ。』

『ホントだよ。
1年前の俺に会えたら全力で止める。
待て、早まるな、って。』

『それが出来りゃいいけど、
ま、実際問題、無理だからなぁ。』

『な…。』

カツン。
湯気があがるグラス。
今日は、お湯割り。

『でもさ、こう言っちゃなんだけども、』

大将が。
淡々と。

『近くにいてもダメな時はダメだし
遠くにいても、うまくいくもんは
うまくいくんだよなぁ。
…距離の問題じゃねぇ、っつーかさ。』

『俺、遠距離は経験…』

ない、と言いかけて思い出した。
そういえば、トーコは遠距離だった。
神戸と東京。…九州よりは近いけど。
もう、すっかり忘れてた。
あん時は、どうだったっけ?

月イチで会うか会わないか、くらい。
それでも全然、平気だった。

トーコとアキ。
何が違うか、といえば

アキは、俺のもんだ。
俺が堂々と愛情を注いでいい人。
…それが、近くにいなくなる。

ほら、やっぱり。
はっきり、思う。

俺は、愛されるより、愛したい。

心から愛していい人に
近くにいてほしいんだよ…



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