第27章 ウェディングプランナー
『おはようございまーす。』
いつものように仕事を始める。
隣の席には、夜久君。
…ゆうべ、黒尾さんと話した。
『夜久君には…
しばらく内緒にしてていいですか?』
『なんで?言っちまおうぜ。
いろいろ助けてくれっかもしんねーし。』
『えーっ…』
『や?』
『や!』
『彼氏出来たー、って威張りたくない?』
『どっちかっていったら、
彼氏、いないキャラを貫きたいです。』
『(笑)俺にはわかんねーけど。
毎日、顔あわせて仕事するのは
俺じゃなくてあんただもんな。
好きにしろよ。
ま、俺も今まで、夜っ久んに、
自分の女の話したこと、ほとんどねーし。』
『それは、言えない恋をしてたからでしょ?』
『そういうことか(笑)』
…黒尾さんは、
言わないことを受け入れてくれた。
本当の理由は、
もし、ダメになった時に
顔をあわせられない、と思ったから。
これからずっと
夜久君と同じ職場で働くとした時、
もしダメになったら
きっと夜久君にも気を遣わせてしまう。
…つきあい始めて
すごくすごく嬉しいはずなのに
やっぱり頭の片隅で
この恋が終わる時の心の準備をしてしまうあたり、
だてに30才じゃないし
だてに失恋、重ねてないわ、あたし。
慎重派?
…臆病、なのかな…
そんなわけで、
夜久君にも夏希ちゃんにも
内緒のおつきあいが始まった、
その日のお昼。
私はいつもと変わらず
自分のデスクでお昼を食べていた。
隣では、夜久君が、
夏希ちゃん手作りのお弁当。
『…おいしそうだね。』
『あぁ、弁当、いいよ~。
昼、何食べるか、考えなくていいから
スッゲー、ラク。』
『え?感謝のポイント、そこ?!
そこはさ、味、ほめて、味を!』
…フッと頭に浮かぶのは、黒尾さん。
お昼、何食べてるんだろ?
おしゃれランチ、してそう…
そんなことを考えていたら、
"ピンポーン"
LINEの着信音…黒尾さんから。
夜久君に見えないように、開く。
……
『早瀬、どうした?顔、こえーぞ?』
『なんでも、ない。』
青空の画面をバックに
並んだ文字は
"今日のうちに話したいことがある。
仕事終わりで、会いたい"
…今日のうちに話したいこと、って
なんだろう…
嬉しいこと?
それとも、
悲しいこと?