第27章 ウェディングプランナー
『カッコいいな。』
『そうですか?
負け惜しみみたいに聞こえてません?』
『いや、ホントにカッコいい。
…そういう姿、ちゃんと誰かが見てるよ。』
『でも、』
少し、うつむく。
手元のコップの水を
ゆらゆらと揺らしながら。
『先輩たち見てると、
だいたい、30前後で異動になってて。
プランナーは、新郎新婦に年齢が
近いほうがいいから、なのかな…
その頃、結婚とか出産をきっかけに
辞める人、多いんです。』
男にはわからない
女ならではの人生の分かれ道。
『あと何年
現場にいられるかな、って思ったら
今、担当してる人達のこと、本当に大事に思えて。
毎日、やりたいことばっかり。
だから仕事が好きなんです。』
そして、俺の顔を見て言う。
『ね、黒尾さん、
私とつきあうって言って下さったけど…』
まなざしに、不安な影。
『休みがあわない、って、
やっぱりダメになるパターンじゃないですか?』
前の前の彼は、
それでダメになったと言っていたっけ。
『あぁ、それは、
一瞬も一ミリも心配しなくていいから。』
明るい声で。
不安を取り除いてやれるように。
『俺、一人で過ごすの、苦じゃねーの。
それに家だってたった二駅じゃん。
仕事終わりで一緒に飯、食ったりさ、
どっちかの家に泊まって出勤しても
大した違い、ねぇし。』
返事が、ない。
…そりゃそうだろう。
付き合う時は、みんな都合のいいこと言うもんな。
痛い目にあったことがあれば
なおさら簡単に信用しねぇだろうし。
『…こんな言葉、信用出来ねぇか。』
『信用、したいです。けど…』
『…あんた、"ダメかも"で諦められる?』
『…』
『俺はそんな不戦敗みたいなの、イヤなんだけど。
ダメかも、ってことは
うまくいくかも、ってことじゃん。
ダメかどうか試さずに諦めるのは、
俺はヤなんだけど。あんたはどーよ?
案外、過去にひきずられて
尻込みしちゃうタイプ?』
彼女の男前の性格に賭ける。
これでひっこむような女じゃないはず。
『私を挑発してるつもりですか?』
…バレてる(笑)
『言っときますけど
私から黒尾さんを嫌いになることはないです。
断言します。
もし私たちがダメになるとしたら、
それは、黒尾さんが私に飽きた時、
ですからね。』
…挑発返しとは。
予想以上の食い付きだ(笑)
