第27章 ウェディングプランナー
"そばにいたい。"
それは私にとって
精一杯の告白。
その言葉を聞いた黒尾さんは
『俺も。』
と言って、
私が頭から被ってた
バスタオルをそっと取り、
肩から抱き締めてくれた。
スッピンの顔に頬を寄せて。
『出逢うのに、きっかり30年、かかったな。』
…その言葉は、私にとっては
忘れられない誕生プレゼントで。
どうしようか、と迷ったけど
思いきって私も
黒尾さんの背中に両腕をまわした。
本当は、
『私でいいんですか?』
…ってもう一度ききたかったけど、
やめた。
"信じる"って、決めたから。
黒尾さんの言葉ひとつひとつ、
ウソはないって、信じる。
『…どうしたい?何でも、望み通りにするよ。』
『…望み通り、って?』
『抱いてほしければ、抱くし。
ただ抱き合って眠りたいなら、そうする。
別々がよければ、俺は、ソファでいい。
どっか行きたいなら…連れてく。
とにかく、朝まで、一緒にいるから。』
望み…望みは…
『手を繋いで、キスして、ほしいです。』
今までイヤだったことを
全部、黒尾さんの優しさで
上書きしてほしい。
『…かーんたん。』
抱き締めてくれてた手が
私の両方の手のひらに下りてきて。
指を1本1本確かめながら
ゆっくりと、恋人繋ぎ。
そのまま、二人でソファに座って。
…唇が、触れた。
軽く、軽く。何度も何度も。
チュ、チュ、と
小さな音が、部屋に響く。
『…あぁ、力がはいんねぇと
ディープキス、出来ねぇなっ。』
片方の手は繋いだまま、
もう片方の手が私の頭の後ろに添えられて。
そこからは
溶け合うような、深い深いキスを。
黒尾さんの舌が、私の舌をつかまえる。
濡れた分厚い粘膜が絡み合い、
息ができないくらい、吸いあって。
今度は
チュパ…ピチャ…と
湿った音が部屋の空気まで湿らす。
…やがて唇は
頬から首筋へとうつっていき、
シャツから見える鎖骨にも。
どこも、ひとつひとつ、
印をつけるように、丁寧に。
キスだけを
こんなに丁寧にされたこと、ない。
キスはいつも、
セックスの始まりだった。
キスしながら
服を脱がされて
あとは体をむさぼられてた。
それが普通だと思ってたけど
黒尾さんのキスは、違う。
繋ぐ手の指先まで
頭に触れる手のひらの端まで
優しさに満ちてる。