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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



今度は彼女の口に
俺のケーキの苺をはこぶ。

『ほら、食え。今日の主役。』

ヘタの部分から下を
プチンと前歯で噛みきらせ
そのまま口に押し込んだ。

『…っ、だってこれは、
んぐっ…黒尾さんの苺…のに…』

『口にモノ入れて喋らない(笑)
ほら、いいから食え!』

もうひとつ。
彼女の苺も口に押し込む。

ついでにケーキも。
フォークにのせて口へ。

『ほら、アーンしろ、アーン。』

『もう、黒尾さん、ふざけすぎ!』

『うるせぇ、ほら、口、開けねぇと、
ヒゲ面になるぞ?』

小さな三角は、
あっという間に
彼女の胃袋におさまってしまった。

『…なんだかんだ言いながら、
ペロリと食ったな、食いしん坊!』

『黒尾さん、』

『ん?』

『…お返しです!』

ガサッ。
渇いた音と塩味が口のなかに広がる。

10枚ほど重ねたスナック菓子が
口に押し込まれ、パリリリリ、と
砕けていく音。

『んーっっ!ゲホッ、ノド、詰まる、
ビ、ビールっ!!』

やっとのことで口の中が空っぽになり
目の前の彼女を見ると、

…初めて見る、楽しそうな笑顔。

俺に連絡してくれてよかった。
この顔、見られてよかった。
独りでいたくない気持ち、
共有できて、よかった。
大事な日の相手役に
俺を選んでくれて
本当によかった。

何もないけど、
これだけは。

心からの、
キスを。

唇に。



訪れた静寂。

抱き締めて。

言葉なんか、
必要ない程。

伝わるかな。

おめでとう、の気持ち。

キスはイヤだ、なんて
言わせねぇ。

キスは、始まりの合図、だろ?







『…しょっぱい。』



あ?



『黒尾さんのキス、しょっぱい。』


『ばーか!
あんたがあんなもん、
口いっぱい押し込むからだろ!』

『キスは、甘くないと。』

『30になって、
まぁだそんな夢、見てんのか?
…わかったよ!』

皿の上。
俺の分のケーキ。
ガブリ、と食べて。

『これで、どうだ。』

もう一度。
今度は、生クリーム味のキス。

味わえ、俺の、気持ち。

生クリーム味のキスは、
"誕生日、おめでとう"のキス。

忘れんな。
あんたの誕生日の記憶は、
これだけ残ってればいい。

悲しかったことや
寂しかったことは

全部、忘れろ。

俺が、朝まで、そばにいるから。


…朝、まで?
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