第30章 『再・再構築』
「誰だ?」
エドワードが口火を切る。
「私かね?うーん…キング・ブラッドレイを作った男…と言ったところかな。」
「と言う事は、そっち側の人間か。」
ロイが、手袋を握り直してそう言い切った。
僕らの前に現れた白衣を着たお爺さん。
ただならぬ気配を放つ彼に、僕らは各々武器を構える。
「おっとっと。やっぱりそうなるのかい、しょうがないね。お前たち少し時間を稼ぎなさい。」
お爺さんが、ス。と手を上げると、先ほどの広場で倒した白い人形兵とは違う、圧倒的に戦闘になれた奴らが現れた。
「『キング・ブラッドレイ』になれなかった男たちだよ。」
ブラッドレイになれなかった?
「あらゆる訓練を耐えぬき生き延びたのに…あの実験で12人目にして『キング・ブラッドレイ』が出来上がってしまったので用なしになった…賢者の石を入れられる事の無かった余り者だよ。」
実験…。
やっぱりこの国はまともじゃない!
それどころか、僕らは木偶人形のように『彼ら』の掌で踊らされてきたんだ。
「キング・ブラッドレイほどではないが。強いぞ。」
「で、しょうね!」
ロイの片手錬金や手合わせ錬金の僕をも防ぐ、ブラッドレイになれなかった男たち。
確実に動きを封じて来る。
突然、お爺さんが成り損ねた者たちを自分の側に呼び寄せる。
いつの間に書かれていたのか、お爺さんは地面にかかれた錬成陣に両の手を乗せ錬金術を発動させる。
「何をした!」
「何、ただの第一段階だよ。この大総統府直轄の錬金術研究所がいくつあるか知っているかね?」
「今、使われているのは市内に四か所」
「ちがう!五か所だ!」
「五つの…頂点を持つ錬成陣…!」
「第三研究所のカーブした地下通路…研究所をつなぐ正円を描いていたの!?」
『国を作る段階から…』誰かがそういっていた気がする。
掌で踊らされていた。そんなもんじゃなかった。
僕らは生まれてから死ぬまで『彼ら』のシナリオ通りだったのだろうか。
バリバリバリ!と狂気にも似た錬成の音。
そして、突然現れた大きな瞳といくつもの細い手。
僕は、いや、僕とエドはなすすべもなく、分解された。
・・・