第14章 Ephemeral(黄瀬涼太)
「はは、やってみるっスか? 少しだけ挿れるやつ」
「違うの、例えばって話だったの!」
もう、二人とも目尻に涙を浮かべるほどの爆笑だ。照れたりドキドキしたり笑ったり怒ったり、このひとと居ると自分ってこんなに感情豊かになれるんだなって思って、びっくりする。
「もう、すごいバカな事言っちゃって恥ずかしい」
「しようよ、少しだけ」
「え」
覗き込んできた琥珀の瞳で、突然トーンを下げてそんな風に囁くから……もう頷く以外の選択肢がなくなってしまった。
「もう疲れて寝たかったら、遠慮なく言ってくれていいんスよ」
「分かってて、言ってるでしょう……」
涼太は、花が咲いたような笑顔でそう言った。
うん、絶対分かってて言ってる。
いま、涼太より私の方がしたがってるって。
「あっ……ん」
「可愛い」
長い指が、器用にシャツのボタンを外していく。ささやかな衣擦れの音が、耳の奥からジリジリと導火線に火をつけたように、煽っていく。
「んっ、っ」
背中の愛撫に反応しているうちに、気がつけばナイトブラは取り去られていた。
大きい手が、小さな胸を包む。もうそこは、少し触れられるだけで鳥肌が立つほど勃ち上がっている。
軽くとか少しだけとか言っていたけど、前戯はいつもと全く変わらない。
ゆっくり、丁寧に、火を付けられていく。
また、風船を作っていた時と同じように涼太は後ろに座っているから、表情が見えない。
時折、肩口から熱い息遣いを感じて、身体が疼く。
指が、ショーツにかかる。
確かめるように横から侵入してきた指は、ぬかるみを感じて動きを止めた。
もう、興奮しきっているのが丸分かりだろう。
一瞬動きを止めた指は、遊ぶように表面を撫でてから、的確に陰核を押し潰した。
「んっ……」
声が抑えられない。
思わず手の甲を当てて抑えようとしたのに、大きな手にさっと攫われて。