第5章 三角関係
優輝side
俺たちが自分のことばかり考えて行動して
いたら美琴が熱を出して倒れた。
俺も美琴と一緒にいたのに、美琴の体調の
変化に俺は気が付けなかった。
それがすごく悔しかった。
いつも涼介はそういう小さな変化に気が付い
て、俺は気が付けないんだ。
美琴をベッドに運んで、布団をかけて落ち
込んでいると
「美琴の様子は?」と涼介が看病に必要な
ものを持ってきて、訊いてきた。
「寝たよ」と言うと安心した顔で冷えピタを
おでこに貼った。
「でも、熱を計って、水を飲ませた方が
いいよな」と俺が言うと涼介も
「そうなんだよな」とちょっと困っていた。
しかし、しばらくすると涼介がいたずらを
思いついた顔をして
「口移しで水だけでも飲ますか?」
と不敵な笑みを浮かべた。
俺もそれには賛成だか、
「どっちが先に飲ますんだ?」
「公平にじゃんけんにするか?」と訊くと
「いいぜ、絶対に負けない!」と豪語していた。
小さな声でじゃんけんをして、勝ったのは
俺だった。
涼介は悔しそうにしていたが、無視をして
美琴を抱き起こして、涼介が持ってきた水を
口に含んで、口移しで飲ませた。
すると、とても喉が乾いていたのか、水が
なくなっても美琴の舌が水を探して
止まらなかった。
その様子が可愛くて変わりたくなかったが、
また俺たちが揉めると美琴が起きるので
諦めて涼介と交代をした。
涼介が口移しで飲ませるのを見ているのは、
辛かったけど、今回はお互い様だ。
何度か俺たちが水を飲ませて、俺がもう一度
水を飲ませていたら美琴が目を覚ました。