第17章 本当に大切なこと
美琴side
私が起きて少し経った時に、見知らぬ女性が
病室の前に立っていた。
雰囲気からして、涼介の元カノかな?
涼介から聞いてた感じによく似ていたので、
「涼介の元カノさんですよね?」
「私、とても暇をしていたのでお話し相手に
なってくれませんか?」と話しかけた。
唐突だったから、ちょっと戸惑っていたけど
私の近くの椅子にかけてくれた。
そして、彼女は
「何で、私が涼介の元カノと分かったんです
か?」と正直に聞いてくれたので
「うーん、勘かな (笑) 」
「涼介から聞いていた雰囲気にそっくりだっ
たし、私の知り合いではなかったから」
と言うと彼女は驚いていて何も話さない。
しかたないから、
「涼介が事件に巻き込まれたと聞いて、居て
もたってもいられなかった」
「ずっと涼介と別れて後悔してたけど、勢い
で携帯の連絡先を消してて連絡も取れない」
「でも、涼介の近況は聞いていたから、私の
所に来たんですよね?」
と言うと彼女は泣きながら頷いた。
その時、優輝が病室に帰ってきたので、目線
で合図をすると分かってくれた。
「貴方と別れて、涼介は私に貴方の影を重ね
ていた」
「二人して不器用ですね (笑) 」
「お互いにプライドが高くて、言い出せな
かったんですよね」
「でも、本当に好きなら素直になるべきです
」
「会いたくても会えない人もいるのに、会え
るのに会わないのはもったいないです」
「でも、運命の人とはどうしても会ってしま
うんですよ (笑) 」
「だって、ほら」と言って廊下を指差した。
でも当人が出てこないから
「涼介、観念して出てきなさい」と言うと
気まずそうに出てきた。
彼女は号泣して涼介を見ていた。
仕方ないので
「後は当人同士で話してください!」
と言ったけど、二人して動かない。
どうしたものかと思っていると、
「そろそろ病室に俺は戻っていいか?」
と優輝が入ってきた。
そして、迷惑そうな顔をして
「美琴はまだ本調子じゃないのに、迷惑かけ
るなよ」
「お前ら邪魔だから出てけ!!」
と追い出してしまった(笑)