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淡い恋 [刀剣乱舞]

第8章 再会


やっと、一期と春香が、顔を合わせて話せたのは、一週間程経ってからだった。
あまりにも心配だったのか、薬研と五虎退が、その様子をじっと、固唾を飲んで見守っていた。
前と変わらず、弟達思いで、物腰も柔らかい。
ただ、何よりもあって欲しかった破壊される前の記憶は、やはりない。
そんな一期を、春香は無意識に切なそうに目で追っている。
他の刀剣達も、無理に二人を合わせようともしなかった。

それを、少し疑問に感じた一期は、理由を加州に聞いてみた。

「主は、何故、あまり私と話して下さらないのでしょうか…」

一瞬、前の記憶を無理にでも、こじ開けてやりたいと思ったのだが、加州は落ち着いて、話す様に心掛けた。

「うちの主は、なんだかんだで忙しいからさ…一期が不安になる事じゃないよ。」
「だと、いいのですが…」

一期がしゅんとしたので、加州は、思い切って聞いてみる。

「い、一期は、主の事、気になるの?」
「気になる…ですか?はい。我が主ですからね。」

さらっと笑顔で言われ、やっぱり主としてだよなと思い、ほっとした自分と、苛立ってしまう自分の気持ちの間に挟まれている。
加州の色んな思いが重なった、引きつった顔を、一期は不思議そうに見た。
と、そこへ和泉守がやってきた。

「加州、ちょうど良いとこにいた。次の買い物っていつだ?ちょっと、欲しい物があるんだが…」
「兼さんさぁ…そろそろ欲しい物くらい、春香に付いてって自分で買い物してきなよ。」

加州が呆れながら言う。
それに対して、和泉守は、頭をポリポリとかきながら面倒くさいのをあからさまに出して応える。

「いや、俺は現世のあの人混みってのが嫌いなんだよ。その点、お前や国広は向こうへ行くのも嫌がらねぇし、頼んだものをしっかり買ってきてくれるからよ。適任者ってやつだ。」

はっはっはと笑う和泉守に、ムスッとしながらはいはいと返した加州が、

「また行くときに聞くから。」

と返すと、頼んだと言い、和泉守は去って行った。
その後ろ姿を見ながら、一期は加州に現世に行くのかと聞いてきた。

「そうだね。ちょうど今の現世は冬のイルミネーションとかが…綺麗で…」
「…?どうしました?加州?」

不思議そうに聞く一期の腕をがっと掴んだ加州が

「それだ!」

と叫んだ。
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