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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第26章 【パニック at the 文化祭 後編 その2】


「こちらへどーぞー。」

関西弁は喋っていない、イントネーションも極力気をつけた。どころか声色も本来より高めにした。それなのに天童がジロジロと美沙を見つめている。

「あの、お客様」

たじたじとなりながら呟く美沙に天童が疑問形でぼそっと言った。

「ままコちゃん。」
「は。」

同じく疑問形で返してみる美沙、今度こそ隠し通さねばと必死である。

「ままコちゃんじゃね。」

天童はもう一度言うが美沙はにっこり笑って何のことでしょうとごまかす。何か察したのか天童はほほぉと悪い笑みを浮かべた。瀬見が人相悪いからやめろと突っ込んでいるが聞いていない。

「なかなかやるじゃん。」
「何のことでしょう。」
「天童、ままコというのはあの電脳娘か。」
「若利クンてばこの期に及んでまだ名前覚えてないのー。」
「何度も言うがどうにも覚えづらい。」

縁下姓に誇りを持つ美沙としてはとても突っ込みたい内容であるが我慢した。

「とにかく私は違います。」
「だそうだ、天童。」
「いーや俺の勘に間違いないっ。」
「やめさないよ、本当に人違いだったらどうする。」
「そんときゃごめんちょ。」
「天童さんそれはヤバイですっ。あ、でもあの電脳はこんな可愛い系じゃないと思いますっ。」
「工、お前いつか女子に刺されるな。」
「何でですか白布さんっ。」
「少なくともままコさん本人が今の聞いてたら間違いなく黙ってないんじゃあ。」
「俺も太一に賛成、関西弁でめちゃくちゃに言われるぞ。」

私は山形さんに何キャラと思われとんねやと美沙は思ったがここも我慢である。

「あの、ご注文をお願いします。」

何とか注文を取るところまで行った。よっしゃ後は注文の品を運ぶとこをクリアしたらと美沙が考えた所で悲劇は起こった。

「あっ美沙っ。」

聞き慣れた声にすっかり見慣れたオレンジ系の髪色が見えた。これはアカンと美沙は聞こえなかったふりをするが相手が状況を知るはずもない。

「美沙ー無視すんなよー。な、な、音駒の方大丈夫だった。」

ベシベシと悪気なく美沙の背中を軽く叩く日向、気づいた白鳥沢の連中が一斉にババッとこちらを見た、勿論牛島も。
そして美沙は半泣きで振り返ってうーと唸った。
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