第1章 平穏だった日々
この日はいつも以上に学校が楽しく感じた。
幼馴染の美里には、
「何か今日、いつもよりテンション高いねー」と
言われたほどに。
そしてどんどん時間が過ぎ、部活も終わり―――
とうとう私が高校を辞めることを伝える時間が来た。
「あのさ、みんな」
と私が友達に声をかけたら、「どしたの?」と不思議そうな顔をした。
「実は、私・・・・・・高校、辞めることにしたんだ」
と言うと、みんなポカンとした顔になった後、一番に、美里が口を開いた。
「・・・何で?」
と少し泣きそうな顔で質問した。
「ほら、うち、おばあちゃん死んでちょっと大変になったし、親戚に迷惑かけるわけにもいかないからさ、だから・・・」
と言いかけた瞬間、美里が泣き出した。
他の友達も私も、いきなり泣き出した美里に、動揺した。
美里は、私やグループの皆の前で涙を見せたことは一度もない。
「えっ・・・どしたの?美里・・・」
私が美里に声をかけると、泣きながら、
「何で相談してくれなかったの⁉うちら、友達なんだから相談ぐらいしてよ‼じゃないと・・・急に言われたらビックリするし、悲しいじゃん・・・」
とまた泣き出した。
「・・・ごめん、美里。でも、もう決めちゃったことだから明日から私、学校にはいないけど・・・そのかわり、みんなでどっかいこうよ」
というと、他の友達も、「いいねぇ~」「プリクラでも取りに行く?」という話題になり、美里も泣き止んでたけど、急に、
「ちょっとストップ!紗那ってさーせっかく最後なんだから今日ぐらい、うちらじゃなくて悠希君と帰ったら?」
という提案に、みんな反対もせず、「あ、そっちの方がいいかもね」ということになった。
「えぇ⁉ちょっ、ちょっと待って‼最後なんだからみんなと帰った方が・・・」
というと、美里が、
「何言ってんの、うちらとは遊んだりでまた会えるけど、悠希君とはそう会えないでしょ?だから」
と言い私と悠希を残し、みんな、「バイバイ!」と帰って行った。