第15章 天下人信長
「信長様……です」
「入れ」
「はい……失礼します」
緊張してきた……
お腹が痛い気がする。
信長様が私を呼んでいるって言っていたから、てっきり広間の方かと思っていたのに天守の自分のお部屋に呼ばれるとは思ってなかったんだけど。
天守の謁見に使う広間は日に3回、お手振りをするのに来るけど信長様の私室に来るのは初めて。
部屋に入った途端、目を見開いて唖然としてしまう。
「本当に……戦国時代……?」
謁見に使う広間は和洋折衷っていう感じのお部屋に対して、信長様の私室は中世のヨーロッパみたい。
部屋の中央には丸テーブルに椅子。
奥にはベットもある。
部屋の灯りはランプ……だよね?
そんな部屋に着物姿の信長様───
違和感があるかと思ったのに意外と馴染んでいるあたりが素晴らしい
(どの時代でもイケメンはなんでも似合ってしまうものなんだわ)
「いつまでそこに突っ立ているつもりだ?」
「あ……」
まるで珍しい物を見たかのように笑みを浮かべている信長様
(いや、私のが珍しい物を見た気分だからね?)
「ここに座るがいい」
「はい」
くいっと軽くあごを突き出して真正面にある椅子を指し示されたので座ってみるけど、ふかふかとして座り心地がいい。
「椅子に座るなんて久しぶり……」
なんだか元の時代に戻ったような気がして嬉しくなってくる。