第13章 天女の御加護
「幸せそうに暮らしている場所を戦火の海にしたいのか?」
そんなのしたいわけないじゃない。
でも___
「いくさと天女がどう関係するんですか?」
「お前のたらない頭では理解出来ないようだな」
むっ!
完璧にバカにされてるんだけど?
「信長様が治めるこの地が天女の加護を受けているとなればそう安々と攻められるわけはないだろ?」
「……そういうもんなんですか?」
「戦とは刀を持ってするだけではないぞ
___智略を尽くすのも戦だ」
にやりと悪い笑みを浮かべる光秀さん。
つまりは__
「そのために私に天女の振りをしろ……そう言いたいんですか?」
「人の噂は瞬くまに広がる。近隣諸国に天女の存在を知らしめるのには最適だろう?」
「そうですけど……」
「それに__天女が加護を与えてやらないとこの騒動は収まらないと思うが?」
確かに。
みんなからの視線が痛い。
期待を込めて私を見つめるのはやめて……
そんな純粋な瞳で見られたら__
私は___
期待に応えるしか選択肢がないじゃない。
「ほう……面白い女だと思って傍に置いてみたが、見事な働きをするな。実に愉快だ」
天守閣から天女として振る舞う私の姿を見られていたなんて思いもしなかった。
続く▷▷▷